バンドを作る式
ボリンジャーバンドは、真ん中の線と上下2本の線でできています。中心線は終値の20本SMAで、上バンドは中心線 + 2 × 標準偏差、下バンドは中心線 − 2 × 標準偏差です。標準偏差は、同じ20個の終値が平均からどれだけ散らばっているかを測った値で、偏差の2乗の平均の平方根をとって求めます。このとき20で割る母集団標準偏差を使い、TradingViewの標準のボリンジャーバンドと同じ計算になります。19で割る標本標準偏差を使うと、バンドは約2.6%広くなります。価格が大きく揺れるとバンドは広がり、落ち着くと狭まります。
「95%がバンドの中」という話
価格の95%がバンドの中に収まるという説明は、価格が平均のまわりに正規分布していると仮定したときの話です。正規分布なら、平均 ± 2標準偏差の外にある確率は約4.6%です。しかし価格はトレンドに沿って一方に偏り、暗号資産のリターンには、正規分布が想定するより極端な動きが頻繁に現れます(裾が厚いといいます)。この講座が測ったバイナンスの10銘柄の日足29,946本のうち、終値が上バンドの外にあった足は2,353本、下バンドの外は1,516本で、合わせて約13%でした。
%Bとバンド幅
%Bは、終値がバンドの中のどのあたりにあるかを表します。%B = (終値 − 下バンド) ÷ (上バンド − 下バンド) なので、1なら上バンド、0.5なら中心線、0なら下バンドにあるという意味です。バンド幅は (上バンド − 下バンド) ÷ 中心線 で、標準偏差を価格に対する比率に直したものなので、価格帯の違う銘柄どうしでも比べられます。ボリンジャースクイーズ・スキャナーは、この2つの値とあわせて、いまのバンド幅が直近120本の中でどの位置にあるかを表示します。
- %B > 1:終値が上バンドの外
- %B = 0.5:終値が中心線
- %B < 0:終値が下バンドの外
- バンド幅 = 4 × 標準偏差 ÷ 中心線(倍率2のとき)
スクイーズ:バンドが狭まった状態
バンド幅が自分の過去と比べてとても狭まった状態を、スクイーズと呼びます。ジョン・ボリンジャーはバンド幅が直近数か月の中で最も狭まったときを指し、TTMスクイーズと呼ばれる方法は、ボリンジャーバンドがケルトナーチャネルの内側に入った状態を基準にします。このサイトのスクイーズ・スキャナーは、ケルトナーチャネルを EMA20 ± 1.5 × ATR(20) としています。ボラティリティは一つの水準に長くとどまらず、ふだんの水準のほうへ戻る傾向があるため、とても狭まったバンドはいずれまた広がることがよくあります。しかしスクイーズは、いつ、どちらの向きに動くかを教えてくれず、最初に抜けた向きに進んでから反対に折れることもあります(レンジ相場の記事)。
例: 架空の価格にボリンジャーバンド(20, 2)を計算して描きました。下の段のバンド幅が3.0%まで縮んだ後、価格が範囲を抜けると22.9%まで広がります。
バンドウォーク:強いトレンドの姿
強い上昇トレンドでは、終値が上バンドに張り付いたり、外側で引けたりすることが何度も続きます。これをバンドウォークといいます。バンドは同じ価格から計算するので、価格が上がれば中心線と上バンドもつられて上がり、下の図では%Bがずっと0.7より上にとどまっています。このとき上バンドに触れたことを反落の合図と読むと、トレンドの間ずっと外れ続けることになります。下降トレンドでは逆に、下バンドに沿って下がっていく姿が表れます。
例: 架空の上昇トレンドにボリンジャーバンド(20, 2)を計算して描きました。終値が上バンド付近や外側で繰り返し引けながら、バンド全体が一緒に上がっていきます。
実測:バンドの外で引けた後
バイナンスの10銘柄の日足(各銘柄のバイナンス上場日から2026年9月まで)で、終値が上バンドの外にあった足の後、20本後の終値のほうが高かった割合は55.1%で、すべての足で測った基準50.4%より高く、中央値も+2.35%(基準+0.15%)でした。上バンドの外が、そのまま反落を意味したわけではなかったのです。下バンドの外で引けた後は、1本後・5本後の上昇割合が基準より高かったものの、20本後には基準と同じでした。バンドの外で引ける足は続けて出ることが多く、標本が互いに独立していない点も考慮する必要があります。
- 基準(すべての足):1本後50.6%、5本後50.5%、20本後50.4%
- 上バンドの外(2,353回):50.4%、52.0%、55.1%
- 下バンドの外(1,516回):57.6%、56.8%、50.4%
- BTC日足の20本後:上の外59.8%、下の外45.1%、基準53.7%
限界とよくある誤解
ボリンジャーバンドは終値20個の平均と散らばり具合を描いたもので、価格が行ける限界線ではありません。上バンドに触れたというのは、直近20本に比べて高いところにあるという要約にすぎず、スクイーズは変動が大きくなりうることを言うだけで、向きは言いません。期間と倍率を変えると、バンドの外で引ける頻度も変わります。暗号資産バックテスターのボリンジャー反発戦略で、過去の成績を手数料と一緒に確かめることはできますが、ある期間の結果が別の期間でも同じになるという保証はありません。
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